
キャッシュレス決済が私たちの生活に深く浸透する中、毎月の大きな支出である「家賃」もクレジットカードで支払いたいと考える人が増えています。
しかし、2025年現在においても、家賃の支払い方法は銀行振込や口座自動引き落としが依然として一般的であり、クレジットカード払いはまだ広く普及しているとは言えません。
この記事では、家賃のクレジットカード払いの現状、メリット・デメリット、具体的な方法、対応物件の探し方、そしてクレジットカード払いに関する導入交渉のポイントまで、賢く活用するためのコツを解説します。
今後、利便性やポイント獲得の観点から、家賃のクレジットカード払いへの需要はますます高まっていくことが予想されます。
日本における家賃のクレジットカード払い最新事情
クレジットカード払いの普及率と需要
日本における家賃のクレジットカード払い普及率は、まだ限定的ではありますが、徐々に増加傾向にあります。それでも、銀行振込や口座自動引き落としが依然として一般的であり、クレジットカード払いはまだ広く普及しているとは言えません。
2018年のNIRA総合研究開発機構の調査では、家賃の支払い方法としてクレジットカード払いを選択している人は全体の11.7%にとどまっていました。他の調査でも、依然として1割以下といった低い数値が示されており、クレジットカードの保有率(86〜87%)と比べても、家賃支払いへの応用は進んでいないことがわかります。
家賃支払いに限定すると、まだ1割前後の利用率にとどまっていますが、クレジットカードそのものの利用は急速に進んでいます。実際に、2023年のNIRA調査では、個人消費支出に占めるキャッシュレス決済比率は70.6%に達し、その中でもクレジットカードが41.1%と最大の割合を占めています。また、JCBの調査によると、金額ベースではクレジットカードが8割以上を占めており、件数ベースでも約52%と、家賃のような高額な支払いにもマッチする手段として利用されています。
このように、一般的なクレジットカード利用の浸透度と、家賃支払いという特定の用途での利用率の間には、まだギャップがあるものの、今後の普及拡大が期待される分野といえるでしょう。

対応物件はごく一部、今後に期待
家賃のクレジットカード払いは利便性やポイント還元の面で注目されていますが、実際に対応している賃貸物件は全体のごく一部にとどまっています。大手不動産管理会社や一部の新興サービスが導入を進めているものの、全国的な普及率は5〜10%程度とされ、まだまだ限定的で決して十分とは言えません。
一方で、クレジットカードで家賃を支払いたいというニーズは年々高まっていますので、今後は、大手管理会社の標準対応化や、家賃保証会社・決済代行サービスとの連携強化が進むことで、対応物件の拡大が期待されます。物件選びの際には、「クレジットカード払い可」が重要な判断材料のひとつになる時代が近づいていると言えるでしょう。
なぜ家賃のクレジットカード払いが少ないのか?
最大の理由は「決済手数料」の存在です。
クレジットカード払いには一般的に3〜5%、高い場合は8%近い手数料が発生します。これを負担するのは通常、大家さんや管理会社です。
さらに、カード会社からの入金にタイムラグがあること、加盟店規約上「手数料を入居者に転嫁できない」こと、また個人大家によるアナログな管理体制なども普及を妨げる要因となっています。
一部では「クレジットカード払い対応に関する交渉」が可能なケースもあり、入居者側から希望を伝えることで、管理会社や保証会社が導入を検討してくれる場合もあります。
ただし、これは物件や管理体制によりケースバイケースのため、導入交渉を行う際は丁寧な確認が必要です。
家賃をクレジットカードで支払う方法
家賃をクレジットカードで支払うには、主に以下の3つのルートがあります。どの方法が使えるかは、物件ごとに異なり、大家さんや管理会社の導入状況によって決まります。
① 管理会社・大家さんとの直接契約
一部の大手管理会社は、クレジットカード会社と契約を結び、家賃のクレジットカード払いに対応しています。この場合、管理会社のウェブサイトや契約時にカード情報を登録することで、継続的な支払いが可能になります。
② 家賃保証会社経由
エポスカードの「ROOM iD」やセゾンカードの家賃保証サービスなど、一部の家賃保証サービスがクレジットカード決済をサポートしています。対応カードの利用が必要な場合もあり、契約と同時に手続きされることが多いです。
③ 決済代行サービス経由
弊社の提供するRentEase(決済代行サービス)を介して支払いを行うことができます。この方法であれば、大家さんや管理会社がクレジットカード払いに対応していなくても、賃料のクレジットカード払いが可能です。利用者が「RentEase」へクレジットカード払いをし、RentEaseが大家さんや管理会社へ振り込みを行うという仕組みです。

家賃をクレジットカード払いにするメリット
ポイントもマイルも貯まる!実はこんなにお得
クレジットカード払い最大の魅力は「ポイント還元」や「マイル獲得」による実質的な節約です。
たとえば、月10万円の家賃を1%還元のカードで支払えば、年間12,000円相当のポイントが貯まります。さらに、ANAマイルやJALマイルなどの航空マイルが貯まるカードであれば、年に1〜2回の国内往復航空券に交換できる可能性も出てきます。長期的に見れば、家賃という大きな固定費を"資産化"する強力な手段になるのです。
ポイント活用のコツ
- 高還元率のカードを使う(楽天カード、エポスカード、ライフカードなど)
- マイル系カードを活用する(例:ANA VISAワイドゴールド、JALカード、Marriott Bonvoyアメックスなど)
- ポイントが「家賃支払いに使える」カードを選ぶ
支払い管理が楽になる
クレジットカード払いにすることで、毎月の家賃が自動的に処理され、支払い忘れや振込手数料の心配がなくなります。家計簿アプリと連携すれば、支出の見える化も可能になり、支払いの管理が楽になります。
管理がラクになる理由
- 利用明細で支出を一元管理
- 支払い忘れを防止(自動引き落とし)
- 明細を見ながら、家計の振り返りや節約計画が立てやすくなる
クレカの会員ステータスアップ
毎月の家賃をクレジットカードで支払うことで、継続的な信用実績を積み上げることができます。年間利用額が上がると、クレジットカードの会員ステータスが上がり、より多くの魅力的な特典を受けることができます。
代表的なステータスアップ特典例
- エポスカード :ポイント有効期限なし、選べるポイントアップショップ、空港ラウンジ無料などの特典
- 楽天カード:楽天市場での還元率がアップ、ラウンジ特典など
- その他:三井住友カード/セゾンカードなども各種ステータスアップ制度あり
家賃をクレジットカード払いにする際の注意点とデメリット
利用限度額の圧迫と残高不足のリスク
家賃は毎月の支出の中でも特に高額です。そのため、カードの利用限度額に占める割合も大きくなります。限度額が低いカードを使っていると、日常の買い物や公共料金の支払いに影響が出る可能性があります。また、引き落とし日に残高が不足していれば延滞扱いとなります。これが続くと、信用情報にも影響が出る可能性もあるため注意が必要です。
対策:限度額の増枠をカード会社に申請する/家賃専用カードを用意する/他の支出を別カードに分散するなどしましょう。
ポイント・マイル対象外の可能性
すべてのクレジットカードが、家賃支払いをポイント付与対象としているわけではありません。特に保証会社や決済代行会社経由の支払いでは「一部対象外」となることもあります。
対策:事前にカード会社の利用規約を確認し、「不動産関連費用」「家賃支払い」がポイント・マイル対象かを事前にチェックしましょう。
手数料負担が間接的に発生するケースも
管理会社がクレジットカード払いを導入するには、クレジットカード手数料(3〜5%前後)を負担する必要があります。そのため、カード払いが可能な物件は、家賃が相場よりやや割高に設定されていることもあります。
対策:カード払い対応物件と非対応物件の家賃を比較して、「ポイント還元分以上に割高でないか」を確認しましょう。
クレジットカード払いに関する導入交渉のコツ
物件によっては、現時点でクレジットカード払いに対応していなくても、入居者側の働きかけで導入が検討されるケースもあります。
管理会社や不動産会社に事前に確認すべきこと
- 家賃だけでなく初期費用もカード払いできるか
- 利用可能なカードブランド(Visa/Mastercard/JCB など)
- 入居者側に手数料負担があるか(通常は大家側負担)
導入交渉のコツ
- 契約前の相談時(入居申し込み前)や管理会社とのやり取りの中で希望を伝える
- 初期費用からカード払いを希望する
- 提携サービスや代行決済の存在を伝える
家賃をクレジットカード払いできる物件の探し方
不動産ポータルサイトで検索
SUUMO・LIFULL HOME’S・at homeなどでは、以下のように「クレジットカード払い可」の条件で物件を絞り込むことができます。
- 「カード払い」「クレジットカード利用可」などのチェックボックスを活用
- キーワード検索欄に「家賃 カード払い」などと入力して検索
- 詳細ページで「毎月の家賃も対応」か、「初期費用のみ」かをチェック
管理会社・不動産会社に直接確認
気になる物件が見つかったら、仲介会社や管理会社に以下のように確認するとよいでしょう。
- 「この物件、家賃のクレジットカード払いには対応していますか?」
- 「初期費用だけでなく、毎月の家賃にも使えますか?」
- 「利用できるカードブランドは?追加の手数料はかかりますか?」
まとめ
家賃のクレジットカード払いは、使い方次第で大きなメリットに
家賃のクレジットカード払いは、ポイントやマイルが貯まる、支払い忘れの防止や資金繰りの調整に役立つ、支出管理が楽になるなど、多くのメリットがある一方で、対応物件が少ない、限度額を圧迫する、ポイント対象外の可能性があるといったデメリットや注意点も存在します。
今後の普及に期待
2025年現在、家賃のクレジットカード払いはまだ一般的とは言えませんが、キャッシュレス化の流れや、管理会社・保証会社による導入の増加により、将来的には「家賃のクレジットカード払い」が当たり前になる時代も近いかもしれません。
年々需要が高まりつつある「家賃のクレジットカード払い」は、今後ますます注目される選択肢となっていくでしょう。
私たちも、この分野の普及と利便性向上に貢献できるよう、賃料決済サービスの提供者として、第一線を担う存在でありたいと考えています。